少子高齢化が進む現代では、介護職に対する需要がどんどん高まってきている。介護職は敷居が高い訳でもなく、高卒や中卒など学歴にも左右されにくい職業で幅広く門戸は開かれているのだ。介護初任者研修(昔で言うヘルパー)などの資格も、半年以内で費用もさほどかからず取得できるため、やる気さえあれば気軽に受けることができるだろう。手に職をつけることを求める人が増えているなかで、これほど安定感のあるリーズナブルな資格もそうそうないはずだ。
にも関わらず介護職が人材不足な状況は、やはり業務がハードな面が立ちすぎているからだと思われる。ここが悩みである。例えば排便などのトイレ介助や、入浴介助などは、直に利用者との接触があるため、少しの触り方の間違いで傷をつけてしまうなどのリスクがある。下の世話も最初は異臭もあり汚物を扱うこともあり、非常に敬遠されがちな業務だ。しかし、これらの業務は、慣れが来るものである。異臭については仕事と思えば気にならなくなるし、介助の技術も真剣に日々取り組めば身に付いてくるものだ。
ただ、中には慣れが通用しにくいものもある。コミュニケーションだ。ここでつまづく人も多く、「この人に、どう接していいのかわからない」という悩みはいつになっても慣れだけではおさまりがつかない事なのだ。この解決には、考え方のシフトが必要になってくるだろう。それは、自分の世界観や常識で話すのではなく、相手のそれに入り込むという心構えだ。「あなたの人生が知りたい」こう考えるだけで、介護という時間に輝きが増すのではないだろうか。